創建は慶長五年(1600年)、関ヶ原合戦の年。
開山は楢葉郡折木(現在の双葉郡広野町)・古本山盛徳寺・第十四世一可良憲上人です。
慶長三年(1598年)頃、福島で布教を行っていた上人の説法は、福島城下の人々の尊敬を集めました。その噂を聞いた福島城の奉行たちが、上人を城内に招いて聞法したところ、その壮大高貴なる西方極楽浄土の説法にいたく感銘し、この地に永く留まるように懇願したということです。
上人は福島城より、当時城が持っていた金剛界大日如来「杉乃妻大佛(すぎのめだいぶつ)」と本堂、伽藍、寺領、仏供米田等の寄進を受け、現在の福島市大町の4分の1ほどの寺地を賜ったのでした。
以来、到岸寺は一度も移転したことのない、大佛城勅願の寺であります。歴代上人も一度も途絶えず、現在第廿三世住職に至っております。
福島市における浄土宗の教えは、この寺から広まり、後年桑折の無能上人をはじめ、多くの名僧が布教に努めました。